2009年08月04日

幸せです連載中(四)です

レッスンの先生は楽しいし、
後輩に誘ってもらったテニスの王子様ミュージカルは楽しかったし。
幸福な一日でした!

あとは自分がもっといい役者になれたらな…!



拍手ありがとーうございまーす!!
元気にネガティブキャンペーン中☆パレアナに、健全なご声援、感謝です。

勢いだけで連載始めてすごく後悔してるものでね…!




推敲足らずですが、今夜は連載第四話。
ようやく「微妙な距離」に来てくれた…!
レッツシリアス微ラブ(激しく疑問形)




 * * * * *



「慌てて離した手」





 トラップとシロちゃんのあまりにも唐突な帰還で、シルバーリーブは村中お祭り騒ぎになった。

 大宴会の席上で、彼らは(っていうかトラップは)ここまで来るのに、いかに困難な目にあったか、それをいかに華麗にくぐり抜けたか、呆れるくらい熱く語っていた。

 いや、呆れたね、実際。
 嘘っぽい涙なんか浮かべてさー、演出過剰!
 話を整理してみれば、あっちこっちの懐かしい人やモンスターに助けられた、ってだけじゃない。
 半分くらい作り話!

 でもトラップのファンの女の子たちや酔っ払いのおじさん達は、そんな話に大はしゃぎ。

 まるで伝説の勇者のように皆から囃し立てられたトラップは、調子に乗って毎日毎晩遊び歩いていた。



 わたしたちと、ろくに顔を合わせることもなく。

 ――っていうか、わたしと。







 星明かりの下、夜の闇。
 薄ぼんやりと見える白。
 柔らかなオデコの辺りを撫でた。指先でくすぐるように。
 シロちゃんは寝息をもらしていた鼻先をぴくぴくと動かす。
 それを感じとったのか、ルーミィはシロちゃんを抱く手に、ぎゅうと力をこめる。
 ふふ。かぁーわいい。
 シロちゃんと、ルーミィ。
 ふたり一緒に眠る姿は、ひとりだけのその姿より、なぜだかずっと可愛い。
 でもルーミィったら…シロちゃんを強く抱っこしすぎじゃないかなあ。シロちゃん、ちょっと苦しそ。

 あの日から、ルーミィはシロちゃんを離さない。
 シロちゃんもルーミィから離れない。
「もう、どこにも行っちゃ、だめだお!」
「はいデシ!」
 簡単で強力な約束を交わしたふたりは、もう本当に、何者にも引き離せないんじゃないかと思う。



 そうよね。

 感動の再会をしたら、そうなるよね。



 いや、別に、わたしと誰かがこうなるべきって思ってるわけじゃないんだけど。



 だけど、さ。



 おかしくない?

 仮にも…仮にもさ?
 こっ…告白? を、した相手を………ここまで無視する?
 もしかして、あれってわたしの勘違いだったわけか。
 もしくは夢??
 ……だったら恥ずかしすぎる!
 でもそんなわきゃ無い! たぶん。



 ――たぶん、本当だったはずなのに。そう聞こえたのに。

『すきだからだ』

 あの瞬間が、もう遠くて。

 あの人が、そばにいるのに、遠くて。

 現実の真実だったと確信が持てない。







 それからすぐに横たわって目を閉じたわたしは、夢を見た。



 ベッドの傍らに、誰かの気配。



 わたしの頬に、指先の感触。

 くすぐったい。

 あったかい。



 その指が、唇を撫でた。
 ゆるゆると。
 輪を描くように。



 やがて頬に戻ってきたその指の一点から、包みこもうとするように、熱が広がった。

 おおきな、てのひら。





 その手に
 わたしの手を
 重ねた。





「――」

 わずかな静寂のあと。
 言葉を乗せた温かな息が、かすかに鼻先を滑った。

「おめえ、起きて…」

「…………」

「……寝てんの、か?」

「…………」

「んだよ、まぎらわしー…」



 夢の中でわたしは、目を閉ざし口を閉ざしたまま、起きてるよ、と答えた。

 少しだけ手に力をこめた。



 その手を握りかえされた。



「なんだ、その態度。帰ってきて早々、殴り飛ばしといてよ」

 だってそれは、怒ってたからだもん。怒ってるもん。
 最後なんて言ったから。
 ずっとずっと姿を見せてくれなかったから。
 やっと会えたと思ったら、妙に元気そうだったから。
 ……わたしだって元気だったけど。

「嫌だったんじゃねえのかよ」

 何が?

「おれに――告白なんか、されたこと」

 ……ちがう。
 違う違う、そうじゃない。

 ぎゅう、と手に力をこめた。



 触れてみて、わかった。
 夢の中だけど。

 怒りがわいたのは、心配だったから。隣にいてほしかったから。
 恐かったのは、もう二度と隣にこの人を感じられないんじゃないかと思ったから。
 平気だったのは、心の底では信じていたから。隣に戻ってきてくれるって。

 会いたかった。
 隣の空気を、ずっと求めてた。



 そっと目を開けると濃い暗闇がたまっていた。

 すぐ横で腰をかがめてこちらを覗きこんでいるらしい、人の影。



 かすかな星明かりに浮かぶシルエットは、ぼんやり赤かった。



 わたしは赤い影に向かって、ささやいた。

 頬を包む手を両手で捕らえて。



「――そばに、いて?」



 息をのむ音がした。


 やがて、赤いシルエットの影が、大きく濃く広がった。

 ちかづく。

 せばまる。

 ふれる――………………?





 目を開けたとき、ただ星明かりで薄ぼんやりとしか見えない天井が広がっていた。

 夢の中で、わたしは知った。

 わたしは……トラップに告白されたこと、嫌じゃなかった。

 むしろ――………





 慌てて振り払われた手の感触と、頬の熱が、リアルに残る夢だった。







「微妙な距離のふたりに5題」より

(C)確かに恋だった
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at 23:59│