2007年08月27日

外郎売りの台詞

声に出して読んでみよう!
できるだけテンポよくリズミカルに楽しく☆

※旧仮名遣いは現代表記に直してあります。



* * *

拙者親方と申すは、
御立合(おたちあい)の中(うち)に
ご存知のお方もござりましょうが
お江戸を立って、二十里上方(かみがた)、
相州小田原、一色町(いっしきまち)をお過ぎなされて、
青物町(あおものちょう)を登りへお出でなさるれば、
欄干橋(らんかんばし)虎屋藤右衛門(とうえもん)
只今は剃髪いたして
円斉(えんさい)と名のりまする。
元朝(がんちょう)より大晦日(おおつごもり)まで、
お手に入れまする此の薬は、
昔ちんの国の唐人(とうじん)、
外郎(ういろう)という人、
わが朝(ちょう)へ来り(きたり)、
帝へ参内(さんだい)の折から、
此(この)薬を深く篭め置き、
用ゆる時は一粒(いちりゅう)ずつ、
冠のすき間より取出す(とりいだす)。
依って其名を、
帝より、
「頂透香」とたまわる。
即ち文字(もんじ)には、
「いただき、すく、香(におい)」と書いて「とうちんこう」と申す。
只今は此の薬、
殊の外、
世上(せじょう)に弘まり、
ほうぼうに似看板(にせかんばん)を出し(いだし)、
イヤ小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと、
色々に申せども、
平仮名を以て「ういろう」と記せしは親方円斉ばかり、
もしやお立合の内に、
熱海か塔の沢へ湯治にお出でなさるるか、
又は伊勢御参宮の折からは、
必ず門ちがいなされまするな。
お登りならば右の方(かた)、
お下りなれば左側、
八方が八つ棟、おもてが三つ棟玉堂造(ぎょくどうづくり)、
破風(はふ)には菊に桐のとうの御紋を御赦免(ごしゃめん)有って、
系図正しき薬でござる。
イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、
ご存じない方には、正身(しょうしん)の胡椒の丸呑(まるのみ)、白河夜船(しらかわよふね)、
さらば一粒(いちりゅう)たべかけて、其の気味合をお目にかけましょう。
先ず此の薬を、
かように一粒舌の上にのせまして、
腹内(ふくない)へ納めますると、
イヤどうも言えぬは、
胃・心・肺・肝(かん)がすこやかに成って、
薫風(くんぷう)喉(のんど)より来り(きたり)、
口中(こうちゅう)微涼を生ずるが如し、
魚鳥(ぎょちょう)、きのこ、麺類の喰合せ、
其外
万病速効あること神の如し。
さて、この薬、
第一の奇妙には、
舌のまわることが銭独楽がはだしでにげる。
ひょっと舌がまわり出すと、矢も楯もたまらぬじゃ。
そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたは、まわってくるは、
アワヤ喉(のんど)、
サタラナ舌(した)に、
カ牙(げ)サ歯音(しおん)、
ハマの二つは唇(くちびる)の軽重(けいちょう)、
開合(かいごう)さわやかに、
アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロオ、
一つへぎへぎに、へぎほし薑(はじかみ)、盆まめ、盆米、盆ごぼう、
摘蓼(つみたで)・つみ豆・つみ山椒、
書写山(しょしゃざん)の社僧正(しゃそうじょう)、
粉米(こごめ)のなまがみ、粉米のなまがみ、こん、粉米のこ、な、ま、が、み、
繻子(しゅす)、ひじゅす、繻子、繻珍(しゅちん)、
親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親かへい子かへい、子かへい親かへい、
ふる栗の木の古切口。
雨合羽か、番合羽か、
貴様のきゃはんも皮脚半、我等がきゃはんも皮脚半、
しっかわ袴(ばかま)のしっぽころびを、三針(みはり)はりながにちょと縫うて、ぬうてちょとぶんだせ、
かわら撫子(なでしこ)・野石竹(ぜきちく)、
のら如来、のら如来、三(み)のら如来に六(む)のら如来、
一寸(ちょと)さきのお小仏(おこぼとけ)に、おけつまづきやるな、
細溝(ほそどぶ)にどじょ、にょ、ろ、り、
京の生鱈(なまだら)、奈良なま学鰹(まながつお)、ちょと四五貫目(しごかんめ)、
お茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ、茶立ちょ、青竹茶せんで、お茶ちゃと立ちゃ。
来るは来るは、何が来る。高野(こうや)の山のおこけら小僧、
たぬき百匹、箸百ぜん、天目(てんもく)百ぱい、棒八百本。
武具・馬具・ぶぐ・ばぐ・三(み)ぶぐばぐ、合せて武具・馬具・六(む)ぶぐばぐ。
菊・栗・きく・くり・三菊栗、合せて菊・栗・六菊栗、
麦・ごみ・むぎ・ごみ・三むぎごみ、合せてむぎ・ごみ・六むぎごみ。
あのなげしの長なぎなたは、誰が(たが)なげしの長薙刀ぞ、
向うのごまがらは、荏(え)の胡麻がらか・真(ま)ごまがらか、あれこそほんの真胡麻殻(まごまがら)、
がらぴいがらぴい風車(かざぐるま)、
おきゃがれこぼし、おきゃがれ小法師、ゆんべもこぼして又こぼした。
たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ一丁だこ、
落ちたら煮て喰お、煮ても焼いても喰われぬ物は、
五徳・鉄きゅう・かな熊どうじに・石熊・石持・虎熊・虎きす、
中にも、東寺の羅生門には、
茨木童子がうで栗五合(うでぐりごんごう)つかんでおむしゃる、
かの頼光(らいこう)のひざ元去らず、
鮒・きんかん・椎茸・定めてごたんな、そば切り、そうめん、うどんか、愚鈍な小新発知(こしんぼち)、
小棚の、小下の、小桶に、こ味噌が、こ有るぞ、こ杓子、こ持って、こすくって、こよこせ、
おっと、がてんだ、心得たんぼの、
川崎、神奈川、程ヶ谷、戸塚を、走って行けば、
やいとを摺りむく、三里ばかりか、
藤沢、平塚、大磯がしや小磯の宿を、
七つおきして、早天そうそう、相州小田原とうちん香、
隠れござらぬ貴賎群衆(きせんぐんじゅ)の、
花のお江戸の花ういろう、
あれあの花を見て、お心を、おやわらぎやという、
産子(うぶこ)・這う子に至るまで、
此のういろうの御評判、
御存じないとは申されまいまいつぶり、
角だせ、棒だせ、ぼうぼうまゆに、
うす、杵すりばち、ばちばちぐわらぐわらぐわらと、
羽目を弛して(はずして)今日(こんにち)お出での何茂様(いずれもさま)に、
上げねばならぬ、
売らねばならぬと、
息せい引ぱり(ひっぱり)、東方世界の薬の元締、
薬師如来も照覧あれと、
ホホ敬って、
ういろうは、いらっしゃりませぬか。



【適当な訳(途中まで)】
 (薬売りの)オイラが親方って呼んでるのはさ、
 もちろんお客さんたちの中に知ってる人もいると思うけど(だって親方は有名だからね)
 お江戸を出発して、80kmくらい西のほう、
 相模の国の小田原の、一色町を通り過ぎて、
 そっからさらに青物町を西に行くと…(そこに、いるんだな~)、
 欄干橋・虎屋の藤右衛門!
 今は出家して円斉って名乗ってる、そいつがオイラの親方さ!
 (だからオイラ、ちゃんとした所の、まっとうな薬売りなんだぜ!
  怪しくないから話を聞いてくんな!)
 元日の朝から大晦日まで、一年いつでも、
 お客さんたちの手に入るようにしなくちゃなんないこの薬! こいつはね、
 むかーし、なんとかって国からきた異国の民、
 「ういろう」っちゅー名前の人が、
 (※ま、本当は名前じゃなくてコレ中国の役職名らしいけど面倒だから説明ナシ!)
 オイラたちの国・日本に来たときに、帝にお会いした時からね、
 (なんと帝は、)この薬を深くしまい込んだまま門外不出にしちゃってさ
 (いやぁ気に入られたもんだよ)、
 こいつを飲むときは一粒ずつ、
 帽子の隙間から(こっそりと、大事に大事に)取り出したもんだ。
 というわけで! (この薬は)その名前を、
 (なんと、天下の)帝より、「頂透香」とたまわったのさ!
 つまり文字にすると、「いただき、すく、におい」と書いて「とうちんこう」っつーんだ。
 (どうだい? すごい薬だろ!? 帝だぜー!?)
 今となっちゃあ、この薬。べらぼうに、世間に広まっちゃってさぁ、
 あっちゃこっちゃに偽ブランドまで出ちゃって、
 いやー、「小田原」のとか、
 「灰俵(=灰が入った俵)」のとか、
 「さん俵(=俵の上に付いてる丸く編まれたフタ)」のとか、
 「炭俵(=炭が入った俵)」のとか、
 いろんなふうに言ってるけど、
 (※ぷぷっ。はいだわら・さんだわら・すみだわら…「おだわら」に引っ掛けた洒落!
  オイラってハイセンス~。
  もちろんそんなヘンな名前の店、無いっての!)
 平仮名で「ういろう」って書いてんのは、うちの親方・円斉だけ!
 もしお客さんたちの中に、
 熱海か塔ノ沢へ、湯治(※っつーか観光したあと温泉宿で遊ぶんだよね)に出かけるか、
 またはお伊勢まいり(※っつーか観光したあと旅館で精進落とし風に遊ぶんだよね)に行くときは、
 (※江戸の人が西に行くっつったら、だいだいこの辺が目的だよなー)
 必ず! お店を間違えちゃいけませんぜ!
 西に行くときゃ右のほう、
 東に帰るときゃ左側にある、
 八方は八つの棟、表は三つの棟からなってる玉堂造の建物で、
 (※玉堂造ってどんなか、オイラもよくわかんないんだけどさ…
  だって実際にある店・ういろう本舗はそんな建物じゃないからね!
  でも、こう言ったほうが、なんとなく店のイメージがかっこよくなるよなー。
  なんか中国っぽい感じ? 玉堂造って。)
 屋根の合わせ目のところの飾りには、朝廷ご用達のしるし・菊の御紋! あーんど
 朝廷の替え紋・桐の花芯の御紋を使うことについて(朝廷から)お許しがあった、
 系図正しい薬なんですぜ~。
 (うちは他とは違う! 信頼度バツグン!)
 おっとっと…いっけねぇ。さっきからお家自慢ばっかりやっちまったけど、
 そんなもん、知らない人にゃあ意味ないよなー。
 まるで胡椒を丸呑みして辛い味がわからなくなった時の辛味とか、
 夜眠ってる間に名所(白河)を通り過ぎちまった船観光とかみたいに。ダメダメだね。
 それじゃ! (お客さんたちの目の前で)一粒食べて、薬の効き目をお見せするぜ!
 まずこの薬をー、こんなふうに舌の上に乗っけてー、
 腹ん中に入れるとー……
 いやー…うまく言えないんだけどさ、(こいつはスゲーよ!?)
 胃・心臓・肺・肝臓が元気になって、
 さわやかな風が喉から吹いてくるみたいだ…! 口ん中が涼しい感じするぜ!
 (※ういろうの中に、ハッカや、フラボノイド入りのアセンって成分が含まれてるからかな。)
 魚や鳥、茸、麺類の食い合わせ(が悪くて腹を壊した時)、
 その他、どんな病も(これを飲んだら)不思議なくらい、あっという間に治っちまわぁ!
 (それだけじゃない!)
 さて、この薬。1番フシギで1番スバラシイところはね、なんと。
 舌がよく廻るようになるんだよ…
 一文銭で作った独楽(※よく回るんだコレ)が裸足で逃げるくらいさ!
 ひょいっと舌が廻りだすと、矢や楯を持って武装した奴が止めようったって、もう止まらない。
 そりゃそりゃ、そらそりゃ、(舌が)廻ってきたよ、廻ってくるよ~。
 ア行・ワ行・ヤ行は喉から発音、
 サタラナ行は舌を動かして音を出し、
 カ行は牙音(がおん)っつって上あごに息をあてる感じで、
 サ行(※この時代、サ行の発音は二種類あったのさ)は歯と歯の間で息を摩擦させるんだ、
 ハ行(※この時代、「ハ」というよりは「ファ」って発音してたんだけどさ)とマ行は
 唇の閉じ加減で音の出方が変わるんだよな。
 (そんな感じでレッツ早口言葉。さー、お客さん集まれー!)
 口の開け閉めもきびきびと、
 アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロオ、



……以下、適当すぎる訳、略。
あんまり言葉に意味のないリズム感重視の早口言葉が続くんで。
ていうか携帯からの投稿の文字数制限に引っ掛かるので★
ま、だいいち、これ以上読む人もいないと思うので………ね。

ようは、早口言葉で客の気をひいて
「ほぉーら、すごいだろ!?
 ここまで薬を売りに来るのも大変だったんだけど、ま、それもお客さんたちのため。
 ご好評いただきまくりの大評判いただきまくり・とうちん香。発売中だい!
 薬のういろうは、いりませんかー! (買ってくれー!)」
って文章デシタ。

at 22:50│