2009年08月

2009年08月15日

うちの田舎です

DVC00020.jpg
音信不通ですみません…
皆さま夏を楽しんでますか?

わたしは青森へ冒険の旅に出て、
アクシデントいっぱい満載いつでも波瀾万丈ハプニング大賞、
しかしそれを乗り越えSさんと、夢の東北デートを果たしました!

そして秋田へ参りまして祖母に会い…
昨日、ここ長野へ参りまして親戚に会い…
なんというか、ストレスを抱えています。あははん。
……嫌いじゃないんだけどな…っ………

いやーしかし!
ようやく今、一人で散歩という至福の時間を得ました!!
田舎、やっぱり好き!!

それに夕べ花火大会だったのですが、最前列の席に寝転んで、
でっかい花火とキレイな蛍を見ちゃいました♪

写真の正面の山は有明山!

いろいろとメッセージを送りたいところですが自宅に着いてしまった…
タイムアウト!

明日、神奈川に戻りますっ!

at 15:42|Permalink

2009年08月05日

開館5周年ですよ記念連載完結ですよ!

先日、休館作業中。7月31日。
当劇場が8月5日で開館5周年を迎えることに気がつきました。

「何かやらなきゃ!」

翌日から思いつきで連載を発進しました。
その翌日からもう後悔しました(笑)
気持ちだけで良い物語は書けないってね…

でも結局は気持ちだけで書き上げました。

最後まで書ききることができたのは
ここまで星屑劇場が(こんな形でも)存続できたのは
全てお客様のおかげです。

ありがとうございました!!



拍手ありがとうございますv
お蔭さまで本当にお蔭さまで最後まで到達できました…
Sさん、レスはまた改めて!
パチのみの方も大感謝です!



それではトラパス連載最終話。
もっとも推敲不足でもっとも長文ですが…ドンマイ(ぇ)
書いたことに意義があるっていうか、ね☆(異議あり!)
いろいろ裏話をはしょったり書き忘れたりしていますが(ぇえー)
まあ気にしないで(気にするわ!)
レッツ脱シリアス(……!?)




 * * * * *



「一歩を踏み出す勇気」





 夕べの夢は、夢だったら夢なのよ。

 よく考えたらダイタンなこと言っちゃったかもとか、よく考えたらあの時すぐ脇にルーミィとシロちゃんがいたよねとか、考えなくていーのよ! 夢なんだから!
 ……え、夢だよね? でしょ!? ね!?
 だれか夢だと言ってぇぇぇー!!
「パステルおねーしゃん? 気分でも悪いデシか?」
「うええっと!? いや、あー、うー、わ、悪くないよ、シロちゃん。だいじょぶ!」

 窓辺に頬杖をついて外を眺めていたわたし。
 突然ガバッと顔をふせて木枠をダンダンダダンと叩きだしたので、心配をかけてしまったみたい(不審がられてもおかしくないのに!)
 慌てて振り返ると、ベッドの上にちょこんとシロちゃんが座っていた。

 ……あれ?

「シロちゃん、ルーミィは?」
 ふたりが一緒じゃないなんて珍しい。
 聞いてみると、シロちゃんは少し困った様子で答えてくれた。

「ルーミィしゃんは、トラップあんちゃんとお話してるデシ」
「ふっ、…ふ~~~ん……」
「あんちゃん、元気が無いんデシ」
「……そう?」
 何を言い出すのシロちゃん。あれだけ元気に遊びまわってるじゃない。
 そう言えなかったのは、シロちゃんの瞳があまりにも真剣だったから。

「パステルおねーしゃんも、元気ないデシ」

 そんなことないよと言えなかったのは、シロちゃんの瞳があまりにも悲しげだったから。



「おねーしゃん。あんちゃんは、ボクに言ったデシ」




 シルバーリーブに向けて、シロちゃんがトラップを背に乗せて飛び立つ前。
 彼らは、こんな会話をしたらしい。

「なー、シロ」
「はいデシ」
「男同士の秘密、守れるか?」
「合点承知デシ! ボク、男の子デシ」
「よーっし! じゃあこれは秘密なんだが……おれな、実は帰りたくねーんだわ」
「えっ…あ、あんちゃん!?」
「覚えとけシロ、カッコつけると後で気まずいことがあるんだぜ」
「は…はいデシ…?」
「でもなあ――帰りてえんだ、すっげー」
「…………?? 気まずくて帰りたくなくても、帰りたいんデシか?」
「おう」

 ――すっげー、会いてえの。あいつに。





「そう言って、ニコッと笑ったデシ」

 シロちゃんは潤みながら輝く透き通った瞳で、必死に何かを訴える。
 なに を ?

「トラップあんちゃんは帰ってきてから、パステルおねーしゃんと、ちゃんと会ってないデシ」
「……それは」
「おねーしゃん。あんちゃんは、パステルおねーしゃんに会いたかったと思うデシ。
 パステルおねーしゃんの所に、帰りたくて、でも帰りたくなかったんだと思うデシ!
 ……ボクにはよくわかんないデシけど」



 不思議と。

 シロちゃんの言葉は、本当に本当のことのように聞こえた。



「……ねえ、シロちゃん」
「はいデシ」
「いいの? 男同士の秘密をわたしに話しちゃって」
「…………いいんデシ」
 ずどーーーんと落ちこんだ様子のシロちゃんの白い毛並みが、気のせいか青みがかって見える。
 それでもシロちゃんは健気に言ってくれた。

「いいんデシ。話さなかったら、わかってもらえないデシから」

 だけど本当はいけないと思うデシ……と、うつむくシロちゃん。
 可愛いのに、すごい。すごいな。

 何から何まで、この小さなホワイトドラゴンの言う通り!



 話さなければ

 伝わらない



 トラップが帰ってきてから、彼もわたしに近寄らなかったけど。
 わたしも自分から近づこうとはしなかった。
 無意識に避けていたのかもしれない。
 話すこと。わかること。変わるかもしれないこと。



「シロちゃん! ……お願いがあるの」
 ごくりとツバを飲んで言うと、シロちゃんはハッとして顔を上げた。

 どうか願いを叶えて。

「一緒にきてくれる?」
「……どこへデシ?」

 一歩を踏み出す勇気をちょうだい。

「トラップの所へ!」

 聖なるホワイトドラゴンはわたしの肩にぴょんと乗り、嬉しそうに目をきらめかせた。

「合点承知デシ!!」



 わたしは小さくて大きな勇気を乗せて、扉を開けて飛び出し――







「うぶっ!!」
「っとと…っぶねー! って、パステルかよ?」
「へっ? あ、トラップ!?」



 飛び出したほぼ直後。
 扉の向こうから飛び出してきた何かに顔をボスンと打った。
 と思ったら目的の人物。

 ……なんなの、このタイミング!

 見上げるとトラップは、「なんなんだ、このタイミングは」って顔でルーミィを肩車していた。
 彼女はぽよんとした表情で「あー、ぱぁーるぅとしおちゃんだー!」と喜んでいる。
 トラップがルーミィ肩車なんて。めっずらしー。

「……なるほどな。おめーはシロにケツたたいてもらったわけか」
 ぼそっとつぶやいたトラップの言葉を聞き取ったものの意味がわからなかった。
「は?」
「なんでもねえ! それよかパステル、もしかして、おれに用事か?」
「えっ! あ、まあ…」
「奇遇だな。おれもだ」
「えっ! トラップもトラップに用事?」
「…………んなわけあるか!」
「いったぁー!」
 トラップに手刀をくらわされる。
 えーん、ちょっと勘違いしただけなのにー!
 こっちは突然トラップを目の前にして、軽くパニックなんだからね!
 まったく、何をどう話していいのやら。
 ルーミィとシロちゃんが心配そうに、でもおとなしく、わたしを見てる。
「……んもぉー、乱暴なんだから」
「おめぇーがボケてっからだよ」
「何よ! わたしがボケたとしたらトラップに叩かれたせいなんだからね!」
「おーそりゃ大変だ。責任とって死ぬまで介護してやるから安心しろ!」
「トラップの介護じゃ安心できない!」
「んだとぉ!?」
「だってトラップは危なくなったら自分だけどっか行っちゃうじゃない!!」

 あれ? 話の流れが、いつの間にか。
 勢いのまま、止まらない。

「いつもは逃げ足発揮してさ、肝心な時は危ない所に行っちゃってさ。
 わたしは、いつもおいてきぼりで!
 冗談じゃないわよ!
 トラップはねえ、もう信じられないの!
 そばにいてって思うけど、思ったって、どーせあなたは離れちゃうんでしょ!」

 ぽかん、とした顔のトラップを見上げて、思いきり息を吸う。





「だから! ……わたしが、ずっとあなたの隣にいる!! もう離れない!!」





 ――何、言ってるの、わたし。
 やっぱりボケてる?

 こんなことこんなふうに言うつもり、ついさっきまでまったく無かった気がするんだけど。

 でも。
 伝えたかったことでは、ある。

 ……でもだからこそ、こんなふうに喧嘩腰で告げるべきじゃなかったんじゃないかしら。

 トラップの肩の上のルーミィが、目をまんまるくしている。



 わたしは彼女に手を伸ばした。



「――パステ…!?」
「違う! ルーミィを抱っこしてるの、これは!!」

 例えトラップに抱きついている形に見えようとも。

「抱っこかあ? わーい!」
「…………じゃあ、おれはシロだ。いいな?」
「すっ、好きにすれば?」
「ぶわぁーか。おりゃシロに言ってんの」
「ぼっ、ボクはいいデシけど…」

 わたしの頭の後ろをぐるりとめぐって。トラップがシロちゃんを抱きしめる。
 わたしごと、抱きしめる。





 何やってんだろ、わたしたち。



 ばかみたいで。

 あったかい。



 ――ああ、本当の本当に、ここに、いる。この人が。





「お帰りなさい、トラップ」





 これが最初かもしれない。
 わたしと彼の、元通りで、どこか新しい時間の。

 これが最初かもしれないから。

 ずっとずっと伝えたかった言葉を、大切にそそいだ。



 ただいまと言う代わりに、彼は抱きしめる手にぎゅうと力をこめた。

 シロちゃんが遠慮がちに「痛いデシ…」と笑った。






「微妙な距離のふたりに5題」より

(C)確かに恋だった
http://85.xmbs.jp/utis

at 23:59|Permalink

2009年08月04日

幸せです連載中(四)です

レッスンの先生は楽しいし、
後輩に誘ってもらったテニスの王子様ミュージカルは楽しかったし。
幸福な一日でした!

あとは自分がもっといい役者になれたらな…!



拍手ありがとーうございまーす!!
元気にネガティブキャンペーン中☆パレアナに、健全なご声援、感謝です。

勢いだけで連載始めてすごく後悔してるものでね…!




推敲足らずですが、今夜は連載第四話。
ようやく「微妙な距離」に来てくれた…!
レッツシリアス微ラブ(激しく疑問形)




 * * * * *



「慌てて離した手」





 トラップとシロちゃんのあまりにも唐突な帰還で、シルバーリーブは村中お祭り騒ぎになった。

 大宴会の席上で、彼らは(っていうかトラップは)ここまで来るのに、いかに困難な目にあったか、それをいかに華麗にくぐり抜けたか、呆れるくらい熱く語っていた。

 いや、呆れたね、実際。
 嘘っぽい涙なんか浮かべてさー、演出過剰!
 話を整理してみれば、あっちこっちの懐かしい人やモンスターに助けられた、ってだけじゃない。
 半分くらい作り話!

 でもトラップのファンの女の子たちや酔っ払いのおじさん達は、そんな話に大はしゃぎ。

 まるで伝説の勇者のように皆から囃し立てられたトラップは、調子に乗って毎日毎晩遊び歩いていた。



 わたしたちと、ろくに顔を合わせることもなく。

 ――っていうか、わたしと。







 星明かりの下、夜の闇。
 薄ぼんやりと見える白。
 柔らかなオデコの辺りを撫でた。指先でくすぐるように。
 シロちゃんは寝息をもらしていた鼻先をぴくぴくと動かす。
 それを感じとったのか、ルーミィはシロちゃんを抱く手に、ぎゅうと力をこめる。
 ふふ。かぁーわいい。
 シロちゃんと、ルーミィ。
 ふたり一緒に眠る姿は、ひとりだけのその姿より、なぜだかずっと可愛い。
 でもルーミィったら…シロちゃんを強く抱っこしすぎじゃないかなあ。シロちゃん、ちょっと苦しそ。

 あの日から、ルーミィはシロちゃんを離さない。
 シロちゃんもルーミィから離れない。
「もう、どこにも行っちゃ、だめだお!」
「はいデシ!」
 簡単で強力な約束を交わしたふたりは、もう本当に、何者にも引き離せないんじゃないかと思う。



 そうよね。

 感動の再会をしたら、そうなるよね。



 いや、別に、わたしと誰かがこうなるべきって思ってるわけじゃないんだけど。



 だけど、さ。



 おかしくない?

 仮にも…仮にもさ?
 こっ…告白? を、した相手を………ここまで無視する?
 もしかして、あれってわたしの勘違いだったわけか。
 もしくは夢??
 ……だったら恥ずかしすぎる!
 でもそんなわきゃ無い! たぶん。



 ――たぶん、本当だったはずなのに。そう聞こえたのに。

『すきだからだ』

 あの瞬間が、もう遠くて。

 あの人が、そばにいるのに、遠くて。

 現実の真実だったと確信が持てない。







 それからすぐに横たわって目を閉じたわたしは、夢を見た。



 ベッドの傍らに、誰かの気配。



 わたしの頬に、指先の感触。

 くすぐったい。

 あったかい。



 その指が、唇を撫でた。
 ゆるゆると。
 輪を描くように。



 やがて頬に戻ってきたその指の一点から、包みこもうとするように、熱が広がった。

 おおきな、てのひら。





 その手に
 わたしの手を
 重ねた。





「――」

 わずかな静寂のあと。
 言葉を乗せた温かな息が、かすかに鼻先を滑った。

「おめえ、起きて…」

「…………」

「……寝てんの、か?」

「…………」

「んだよ、まぎらわしー…」



 夢の中でわたしは、目を閉ざし口を閉ざしたまま、起きてるよ、と答えた。

 少しだけ手に力をこめた。



 その手を握りかえされた。



「なんだ、その態度。帰ってきて早々、殴り飛ばしといてよ」

 だってそれは、怒ってたからだもん。怒ってるもん。
 最後なんて言ったから。
 ずっとずっと姿を見せてくれなかったから。
 やっと会えたと思ったら、妙に元気そうだったから。
 ……わたしだって元気だったけど。

「嫌だったんじゃねえのかよ」

 何が?

「おれに――告白なんか、されたこと」

 ……ちがう。
 違う違う、そうじゃない。

 ぎゅう、と手に力をこめた。



 触れてみて、わかった。
 夢の中だけど。

 怒りがわいたのは、心配だったから。隣にいてほしかったから。
 恐かったのは、もう二度と隣にこの人を感じられないんじゃないかと思ったから。
 平気だったのは、心の底では信じていたから。隣に戻ってきてくれるって。

 会いたかった。
 隣の空気を、ずっと求めてた。



 そっと目を開けると濃い暗闇がたまっていた。

 すぐ横で腰をかがめてこちらを覗きこんでいるらしい、人の影。



 かすかな星明かりに浮かぶシルエットは、ぼんやり赤かった。



 わたしは赤い影に向かって、ささやいた。

 頬を包む手を両手で捕らえて。



「――そばに、いて?」



 息をのむ音がした。


 やがて、赤いシルエットの影が、大きく濃く広がった。

 ちかづく。

 せばまる。

 ふれる――………………?





 目を開けたとき、ただ星明かりで薄ぼんやりとしか見えない天井が広がっていた。

 夢の中で、わたしは知った。

 わたしは……トラップに告白されたこと、嫌じゃなかった。

 むしろ――………





 慌てて振り払われた手の感触と、頬の熱が、リアルに残る夢だった。







「微妙な距離のふたりに5題」より

(C)確かに恋だった
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2009年08月03日

葉の鮮やかな夏ですね連載中(三)です

今の季節、葉の青々しさが輝いてますよね。
葉脈の一本一本から、隅々までエネルギーが満ちている感じがします。

わたしには、ちゃんとエネルギーがあるだろうか?

ぐっと力いっぱい手を開いてみて。
うん、元気!
ぐっと力いっぱい手を結んでみて。
うん、頑張ろう!



葉に負けないよう、夏を、強く堂々と過ごしたいと思います。



さて、今日は連載第三話。
遠距離微恋愛(疑問形)の彼ら…
レッツシリアス(疑問形)





 * * * * *



「平行線をたどる日々」





 住みなれたシルバーリーブはやっぱり居心地が良かった。

 でもトラップとシロちゃんがいないと、やっぱり調子が狂ってしまう。



 狂いっぱなしの毎日が、たんたんと過ぎていった。



 それでも、意外と平気な自分がいた。



「パステル、起きたのか」
「んー。ごめんねクレイ、寝坊しちゃった」
「大丈夫。原稿、お疲れさん」

 階段を下りていくと、クレイが一人、剣を手入れしていた。

 夕べ、小説の締切をひかえていたわたし。
 ここ数日は寝る間も惜しんで机に向かっていた。
 印刷屋に駆けこんで、帰ってきてからの記憶がないのは…たぶん、すぐに寝ちゃったからなんだろうな。
 おかげで今朝はぐっすり眠ってしまった。

「ね、ルーミィは?」
「ノルと散歩。キットンは知らないけど、どっかフラフラしてるよ、いつもどおり」
「そっか」

 トラップは?
 シロちゃんは?

 ――聞かなくても、わかってる。

 わたしたちはすっかり日常に戻って、彼らを待っていた。
 打てるべき手は打った。
 もう待つこと以外にできることはない。

「パステル、お腹すいてるだろ? なんか食いにいこうか」
「あー…でももうすぐお昼なんだよね。それまで待ってようかな」
「そっか?」
「うん。じゃー、それまでもう一眠りしてこよっと!」
「パステル」
「ん?」
「無理するなよ」



 いつの間にか剣を置いていたクレイが、わたしを真っすぐに見つめていた。
 真っすぐに、わたしを包むように。



「……無理してるように見える? わたし」
「んー、いや。それほどでもないけど」
「じゃあなんで?」
「はっはは。なんでだろーな? ただ、なんとなく言いたかったんだ」



 変なこと言ってごめんな、と。
 顔をくしゃくしゃにして笑うクレイが、なんだか不思議に見えた。
 子どもみたいなのに、大人っぽい。
 笑ってるのに、泣いてるみたい。

 優しいこの人が、仲間と、とくに幼なじみの親友とこんな形で離れて、平気なはずがない。

 なのにわたしの心配をしてくれてる。



 嬉しくてありがたくて、胸苦しい。



「無理は、してないよ」

 なんとなくクレイの傍らの剣を見つめながら、ぽつりとこぼした。
 もしかしたらわたしは上手く笑えていないかもしれない。
 何度か命を助けてもらったそれが――今、ひどく、憎らしいから。

「大丈夫なの。ほんとに、ぜーんぜん平気」
「そっか」
「シルバーリーブは落ち着くし、ご飯はおいしいし、ちゃんと眠れるし。みんながいてくれるし」
「うん」
 優しいクレイの声が、するするとわたしの心をほどく。
「ひどいよね。いつもどおり、生活できちゃうの」
「……パステル」

「でも。だから、…こわい」

 戦いは終わったのに、どうして剣がここにあるんだろう。
 戦いは終わったのに、どうして――ここにいないの、彼らは?

「こんな状態、認めたくないのに、慣れてきちゃいそうで………こわい」



 良いことだってわかってる。しっかり日常を生きること。

 だけど、じわじわとぞわぞわと、はい上がってくる蟻のような不安。
 毎日を繰り返すごとに増えていく。
 今はもうびっしりと、わたしを覆っている、黒い群れ。
 こわい。
 動けない。



 このまま、彼らがいない日々がどこまでも続いたら、それが日常になってしまったら。

 もう二度と、トラップの思いとわたしの思いが交わらないとしたら。

 それでも、普通に暮らしていける。たぶん。
 起きて、食べて、小説書いて、寝て。
 そのうち、当たり前になる。彼らがいない日常が。
 で、冒険に出て…思い出が増えていって……

 ……そんなのってない!



 考えても仕方ない恐れを振り払えるのは、伝説の剣でも、同じ恐れを隠し持っている仲間でもない。



 今ここにいない人にしか、できない。



「パステル」

 やがて、うずくまったわたしに寄りそうように、クレイが隣にしゃがんだ。

「…………なあに?」

「シロはともかく。トラップが帰ってきたらさ、ぶん殴ってやろうな」

「…………うん」







「ぱぁーるぅぅぅーーーーー!! しおちゃんね、あのね、かえってきたおーーー!!」



 突然、なんの前触れもなく扉を突き破って飛びこんできた叫びが、黒い不安を光に溶かすように消した。

 ――狂いっぱなしの毎日が、



「ただいまデシ! クレイしゃん、パステルおねーしゃん!」



「シ…シロ!!? 無事だったんだな、よかった…! ノル、どこで!?」



「村はずれで、会えた。……今、キットンと後から、」



「まったく久しぶりだってのに、あなたって人は相変わらずですねえ! あぎゃぎゃ! いい、痛いですよ!」



「相変わらずなのはてめーだよ! うるせーっての!」



「お…おい、トラッ…プ!?」



 狂いっぱなしの毎日が、

 あっけなく、終わった。





「いよっ、久しぶり。元気にしてたかよ?」



「――………!!」





 とりあえず、ぶん殴ってやった。







「微妙な距離のふたりに5題」より

(C)確かに恋だった
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2009年08月02日

夏休みですね連載中(二)です

拍手が多いのは夏休みだからなのでしょうか。
ありがとうございます、ありがとうございます!
早くも連載を取りやめたい今、お客様の温かさがいっそう身に染みます。
(第一話で無理矢理オシマイ★ってことにすれば良かった…)

夏休みといえば、わたしの今年の夏休みは秋田と長野へ行くことに。
観光? のんのん!
母方と父方の祖母の家へまいります。迎え盆は母方で、送り盆は父方で…
両親は最初から父方(長野)のほうへ直行なので、パレアナは一人で大旅行です。

ああ、帰りたくない…!
田舎は好きだけど、親戚に会いたくない…! 好きだけど会いたくない…!
絶対「いいお婿さんを連れて来いよー」とか言われるんだ!
「彼氏いるんでしょ?」とか! 「結婚して帰っておいで」とか!
悪意なくプレッシャー(?)かけられるんだ! ほっといてー!!
ああどうか見合いのセッティングだけはされてませんように……
こっ、こわいよー!!

でもせっかくだから旅を楽しんで来ちゃうんだもんねーだ☆






気をとりなおして、連載第二話。
「微妙な距離のふたりに5題」なのに、完璧に離ればなれ(遠距離?)になった彼ら。
それでもレッツシリアス。




 * * * * *



「好きかも、しれない」





 お昼ご飯を食べながら、「夕飯は何にしよう」と考える。
 そんな自分に少し呆れて、でも、それでいいのかなとも思う。

 一人きりだったら、食べることなんて考えられなかったかもしれない。

「ぱぁーるぅ、ごちそうさまだおう」
「ええ? ルーミィ、もういらないの?」
「いりゃないの。……ねえ、のりゅー」
「ん…、なんだ?」
「しおちゃん、おなかぺっこぺこになってないかぁ?」
「……きっと、大丈夫だ。シロは、強い」
「そうだぞルーミィ。なんたって幸福を呼ぶ白い竜だからなー。きっと満腹で幸せな顔してるぜ?」
「本当かぁ!? くりぇー」
「もっちろん! 今頃食べすぎてゲップしてるさ」
「いやいや、クシャミしてるかもしれませんよ? わたしたちが噂してるせいで」
「両方、してるかも」
「りょーほー?」
「げ、やめてよノル! 聖なるホワイトドラゴンがゲップにクシャミなんて…」
「んぎゃーっはっは! 今更でしょ、ドラゴンのイメージとのギャップなんか!」
「わっ、キットン! 食べながら大口あけるな、飛んできたぞ、なんか!」
「きったなぁぁぁ!」
「きっちゃなぁぁぁ!」

 旅の途中はどうしても簡素になる食事に、賑やかな会話で味をつける。
 近頃の話題は、この場にいないパーティの仲間のこと。
 一人きりだったら、何も食べられなかったかもしれない。やっぱり。



 あの戦いの後、必死に、はいずり回って仲間を探した。

 それでもまだ白いドラゴンの子と赤毛の盗賊が欠けたまま。

 シロちゃんはずっとルーミィのそばにいてくれたけど、はぐれてしまったみたい。
 ……わたしたちが見つけたとき彼女はひどくおびえていた。
 初めてズールの森で会ったときを思い起こさせるほどに。

 あれから数週間。
 わたしたちは、シルバーリーブに戻るべく、旅に出ていた。
 戦いのあった地で彼らが現れるのを待ちつづけるには、あまりに時間が経っていて。滞在費もばかにならないし。
 あそこに留まるよりも、我らが本拠地のほうが体を休められる。
 それに、もしかしてもしかしたら…案外、先に帰ってるのかも!
 ……そうであってほしい。
 とにかく、一度シルバーリーブへ!
 重くなりがちな足どりに気づかぬふりをして、わたしたちは進んでいた。
 ヒポちゃんもシロちゃんもいない徒歩の旅は、思えば、とても久しぶりだった。



「りょーほー、かぁー……」

 彼女らしくもなく、食事の量が少し遠慮がちなルーミィ。
 ふいに輪からはずれて、何もない青空の彼方を見やった。
 小さな背中から、呟きが聞こえる。

「確かめたいお…しおちゃんが今、何してるんか」

 それは、つまり。

「会いたい、おう……………」



 ああ。
 シロちゃん。

 ルーミィはこんなに、シロちゃんのことが大好きだよ。





 そしてわたしは。

 彼のこと――



 ……………、わから、ない。





 ずっと、気にしてる。

 もしかしたら…そうかも、しれない。

 でも別にそうじゃないかもしれない。

 なんにも、わからない。





 トラップの顔を見ないと、答えなんか出せない。





 ああ。
 それは、つまり。





「会いたいんらおう……!」





 クレイに柔らかく抱きあげられて泣きじゃくる、小さなルーミィを見ながら。

 わたしの眼からも、涙がこぼれた。



「これ、なかなかおいしいですねぇ」

 ぼそりと呟いたキットンの声も。

 黙って、頭を撫でてくれるノルの手も。

 とてもとても。
 あったかかった。



 ああ、夕ご飯は、何を作ろっかなあ。







「微妙な距離のふたりに5題」より

(C)確かに恋だった
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